バッパさんの本棚を整理していたら、大井義典という人の『無の勝利』という詩集が出てきた。確かこの人から別の詩集を直接もらったことがあったと思い出し、階下の本棚を探し回ってやっと見つけた。『線』という簡素な詩集である。前者の発行は1972(昭和47)年、後者は1977(昭和52)年である。すると彼から『線』をもらったのは、1977年以降ということになる。著者略歴を見ると、生まれは明治33年、つまり1900年だから、そのころ 80歳だったのだろうか。しかし思い出の中の彼はもっと若かったような気がする。もちろんもう亡くなられたはずだが。
ところで『線』の中に「線の思想」という随筆が挿入されており、その冒頭、ウナムーノの文章が引用されている。それがウナムーノのなんという作品からの引用かまだ調べていないが、たぶんバッパさん経由でウナムーノの存在を知り、その作品を読むにいたったのであろう。東北の片田舎で、しかもかなりの歳になられてからウナムーノの思想に惹かれ、そこからなにがしかの影響を受けた人がいたということ自体、嬉しいし、思想というものの普遍性に改めて感動する。生きておられたとしたら、今103歳。もう少し前に再会を果たしていたら、と残念に思う。この二冊の詩集をしばらく手元に置き、彼の想いをたどってみたい。
「談話室」
- 【家族よりご報告】 に 富士貞房Jr. より
- 【家族よりご報告】 に 齋藤 和子 より
- 【再掲】焼き場に立つ少年(2017年8月9日) に 佐々木あずさ より
- 【再掲】焼き場に立つ少年(2017年8月9日) に 佐々木あずさ より
- 重要なお知らせ(新モノディアロゴスの開設) に 服部綾乃 より
- 重要なお知らせ(新モノディアロゴスの開設) に 立野正裕 より
- 松本昌次さん に 佐々木あずさ より
- 岩波文庫・オルテガ『大衆の反逆』新訳・完全版 に 佐々木あずさ より
- 岩波文庫・オルテガ『大衆の反逆』新訳・完全版 に 豊田俊文 より
- 岩波文庫・オルテガ『大衆の反逆』新訳・完全版 に 立野正裕 より