貞房の本音

※以下の文章は昨日、隣のコメント欄に書いたものですが、目立たない場所なので、出来るだけ多くの人にも貞房の本音を知っていただければ、とそのままこちらの方に移します。

 外から見れば収束宣言は早すぎる、と思うでしょう。しかしこれまで完膚なきまでに痛めつけられてきた被災地の人間からすれば、言いたいことは山ほどありますが、しかしとりあえずは収束への第一段階が終わったことでやっと一息ついているところです。小池・児玉的論調に対しても言ったように、原発禍対応をめぐる政府・行政への痛罵は、外部の人間にはたぶん想像もできないでしょうが、振りかざして返す刃の先で被災地の人間をも傷つける場合があるということもどうぞ理解してください。
 
 たとえば検査のために持ち込んだ食品に汚染が無いという科学的・医学的データを示されてもなお信じられずに不信地獄に生きているような人が増えこそすれ決して減ってはいないのが現状です。何度も言ってきたように、放射能汚染よりもこうした不信と疑惑のストレスがどれだけ被災地の人間を蝕んでいるか、どうぞ理解してください。

 外目にはそう見えないでしょうが、この私も本当は深く傷ついています。

 もちろんこれからもいい加減な行政には警戒の目を向け続けてほしいし、そうすべきですが、せめてここだけでも、前向きで、こころ休める憩いの場であってほしいと願ってます。そこんところをどうぞよろしく。

Please follow and like us:
佐々木 孝

佐々木 孝 について

佐々木孝(ささき・たかし) 1939年北海道帯広市生まれ。2歳から引き揚げまでの5年間を旧満州で暮らす。1961年上智大学外国語学部イスパニア語学科在学中にイエズス会に入会。1962年同学科卒業。5年間の修練生活の後、1967年イエズス会を退会、還俗する。同年上智大学文学部哲学科卒業。1971年清泉女子大学講師、助教授、1982年教授となる。1984年常葉学園大学でスペイン語学科の草創に参加。1989年東京純心女子短期大学・東京純心女子大学(現・東京純心大学)教授。その間、東京外国語大学、駒沢大学、法政大学、早稲田大学などでも非常勤講師を務める。2002年定年を前に退職、病身の妻を伴い父祖の地・福島県原町市(現・南相馬市)に転居。以後16年にわたり「モノディアロゴス(Monodiálogos: ウナムーノの造語で「独対話」の意)」の名を冠したブログを死の4日前まで書き続けた。担当科目はスペイン思想、人間学、比較文化論、スペイン語など。2018年12月20日、小細胞肺がんのため宮城県立がんセンターにて死去(享年79)。洗礼名フランシスコ。
カテゴリー: モノディアロゴス パーマリンク

1 Response to 貞房の本音

  1. エトワール のコメント:

    昨日、今住んでいる街で一番大きな書店へ行って佐々木孝の著作及び翻訳の本を全部買うといって検索してもらいましたが、あったのは、「原発禍を生きる」と「個人と社会」(オルテガ著 白水社刊)の2冊のみでした。哲学書のコーナーを観るといつも思うことなのですが、構造主義とポスト構造主義の人々、ウィトゲンシュタインの人々、チョムスキーの人々は、本を売るのが本当に上手です。他にも同時代の優れた哲学者はたくさんいるのに、どうしてなのだろうかと不思議に思います。オルテガの「個人と社会」(個人的には、私は「人と人々」という方が好きなのですが)は、学生時代に大学の図書館で、手にしたことがありました。当時は、すごく難解なように感じ、あまり、よく消化できませんでしたが、今は、この本が、どれほど価値の高い名著かよく分かります。昨日購入して、今、パラパラと見ています。本当に素晴らしいテキストだと思います。 南相馬市の様々な問題、行政のいろいろな問題、韓国の従軍慰安婦の問題、キム・ジョンイルの死、オリンパスや大王製紙の不祥事、来年到来するアセンシオン等、様々な問題が渦巻いていますが、今、この世にあるそのままの現実を、佐々木先生が、哲学的な観点で、俯瞰された実直な御意見をぜひ賜りたいと思っています。

    オルテガの思想と同郷の尊敬する小説家である埴谷雄高の思想には、どこかしら接点があるのではないだろうかというのが、今、新しく模索しているところのエトワールのテーマです。埴谷雄高の小説は、恐ろしく難解です。書く方も大変だったでしょうが、読む方も真剣に取り組むと本当に大変です。どこか突破口がないものかと思い、数多くの評論や解説書を読みあさりましたが、参考になると思われるものは皆無だと思います。

    今回の震災で、外目にはそう見えないでしょうが、この私も本当は深く傷ついています。でも、上を向いて歩くしかないので、今は、とりあえずオルテガと埴谷雄高を読んで、明日を考えようと思っています。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください