大切な作家たち

 このところ立て続けにインターネットの古本屋さんから本が届いている。五月から隣町の「埴谷・島尾記念文学館」で始まる予定の「埴谷雄高を読む会(仮題)」の準備をしなければ、と思い、埴谷さんのまだ読んでない本を注文し始めたのがきっかけで、次は安岡章太郎さん、小川国夫さんの、まだ読んでいないか持っていない本をネットで次々見つけては注文したからだ。
八王子の家だったら、置き場所のことを考えて購入を控えたと思うが、なにこのボロ屋は空間だけはたっぷりある。あとは財力だが、これも有難いことに、ネット古本屋で意外と安価な掘り出し物を見つけることができる。昨日届いた河出書房新社の「埴谷雄高作品集」全七巻などはたしか二千九百円だった。
 
 埴谷さんはもうアンドロメダ星雲の彼方の死霊の世界に住んでおられるが、安岡さんも小川さんも、まだお元気に仕事をしておられる。お二人ともこれまでいろいろな局面でお世話になった大先輩なのに、このところご無沙汰ばかりで、しかもあまり読まなくなっていた。
 
 ともかく安岡さんは小説家としても第一級のお仕事をされているが、さりげない題材のエッセイも、いつ読んでもその文章の素晴らしさに感動する。今は岩波版作品集の第1,2,3巻の初期作品のうちまだ読んでいなかったものを読んでいるが、若いときからすでにきっちりした見事な文章を自在に駆使していることに改めて感動している。
 
 小川さんの文章も長い間読み直していなかったのだが、先日、地中海の旅の思い出を書いた作品を読んでいて、地中海の光や風や深緑の海の色までが見えてきたのには正直びっくりした。不覚にも涙が出そうになった。

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