ヒロシです…


 ここ三日ほど、珍しく風邪で体調を崩していた。でもありがたいことに、その間美子は元気でいてくれた。これで美子にまで風邪を引かれたら目も当てられなかっただろう。つまりこの三日間、美子の世話をすることで、私自身辛うじて頑張ってこれたわけだ。なかば離れみたいなところに住んでいるおかげで、またすぐ側の美子がまったく気にしないので、こういう時はまともに聞けば何事か、とびっくりするような大きな声で溜息やら自分に対する叱咤激励の叫び声を上げてきた。

 でも歳のせいか、多分もう回復したんだろうとは思いながらも、しかし風邪を引く前はどんな状態であったか忘れていて、どうもスッキリしない。つまりこれで治ったんなら、大したこたないな、と言う感じ?

 だいぶ前、ピン芸のお笑い芸人に「ヒロシ」というのがいたが(最近は全く目にしない、消えたんだろうか?)、彼の言い草を借りるとこうなる。

 最近は歳のせいか、風邪が治ったんだかどうか、それがよく分からんとです。ヒロシです、ヒロシです……

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fuji-teivo について

佐々木孝(ささき・たかし)  1939年北海道帯広市生まれ。上智大学外国語学部イスパニア語学科、同大学文学部哲学科卒業。清泉女子大学、常葉学園大学、東京純心女子大学教授などを歴任。専門はスペイン思想・人間学。定年前に退職し、父祖の地・福島県南相馬市に転居、現在に至る。主な著書に『ドン・キホーテの哲学―ウナムーノの思想と生涯』(講談社)、『モノディアロゴス』(行路社)、『原発禍を生きる』(論創社、これは香港、韓国そしてスペインでそれぞれ翻訳出版された)、『スペイン文化入門』(彩流社)など。訳書にオルテガ『ドン・キホ-テをめぐる思索』(末来社)、同『哲学の起源』(法政大学出版局)、マダリアーガ『情熱の構造』(れんが書房新社)、ビトリア『人類共通の法を求めて』(岩波書店)ほかがある。  なお著者はブログ「モノディアロゴス」(http://fuji-teivo.com)で発信を続けるほか、『モノディアロゴス』シリーズを初め20数冊の私家本(呑空庵刊)を作っている。
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